ねずみ行進曲
(ショート)
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江戸崎竜胆 GM
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「ねずみが出た!」
商店街の人々がざわめき始める。
其処には無数の黒いねずみが果物や野菜を齧っている姿があった。
「ねずみ、なんて困る生き物なのかしら」
「どうにかして駆除出来ないかな……」
ねずみ。食物を荒らし、病気を蔓延させ、家の天井にまで入り込み、困った生き物だとそう商店街の多くの人々が思っている。
商店街の人々が頭を悩ませている時、大きな白ねずみがひょこり、と立ち上がった。二足歩行で。
「あの黒いねずみ達は、本当は悪い生き物じゃないんだよ。汚れて真っ黒になってしまっているけれど、本当は幸せを運ぶ白いねずみなんだ」
白いねずみが髭をひくひくさせて商店街の人達に訴えかけています。
「お願いだよ。僕達の仲間を救ってあげて。お腹が空いているだけなんだ。きちんとご飯を貰えれば、黒いねずみは出なくなるよ。本当はあの子達も困っているんだ。寒くてご飯がないだけなんだよ」
白いねずみは商店街の人々の合間を走り回って、黒いねずみを助けて、と言って回っています。
白いねずみと黒いねずみ。
白いねずみは大きくて一匹。対する黒いねずみは小さくて沢山います。この差は歴然としていて、とても同じ動物には思えません。
白いねずみはそれでも商店街の、学園の皆さんに話しかけます。
「僕達の仲間を救って下さい」
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参加人数
2 / 8 名
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公開 2020-08-08
完成 2020-08-25
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夏のアニキたち~ビキニは終わらない~
(ショート)
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江戸崎竜胆 GM
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「アツい! アツいぜ! アニキィ!」
むきぃ!
「うおおー! その筋肉が光り輝く!」
むきむきぃ!
「感涙だぁ! 俺の上腕二等筋がむせび泣く!」
にっかり!
『うおおおおおお~!!』
暑苦しい会場。夏の真っ盛りかと見まごう程のきわどいビキニに、てかってかに光る小麦色の肌。肉肉、筋肉、筋肉、ときどき贅肉、とにかく肉の波。
其処は漢(おとこ)と漢女(おとめ)が集う魅惑の常夏。
そんな光景を目の当たりにしたあなたに、ステージの上に立っていた見事な褐色肌の筋肉だるま、にっしゃりと白い歯をきらめかせた【マッスル・タロウ】(28歳)が話しかけてきた。
「君にも聞こえるだろう……筋肉の喜びの声が。さあ、僕達と共に、ひと夏の筋肉バカンスを楽しもう! 大丈夫、筋肉は君の味方だ!」
あなたはなにをしたと言うのだろうか。前世でなにかしでかしたような悪夢――人によっては天国かもしれない――に迷い込んでしまったかのようだった。此処では筋肉が全て。筋肉が命。筋肉が至高。
夏も終わりの頃、此処は灼熱の熱気に包まれていた……。
あなたは此処でなにをする? ただ筋肉に怯えているだけの存在ではあるまい。
筋肉を鍛える?
筋肉を披露する?
筋肉を愛でる?
其処にはただ――筋肉あるのみ。
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参加人数
3 / 8 名
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公開 2020-09-06
完成 2020-09-23
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